KodakのデジタルフォトフレームEasyShare P750がかなり頑張っている件

Kodakといえば往年のカメラフィルム製造業で大成功したものの、その後の世界的なデジタルカメラの普及の波に乗れなかったという、イノベーションのジレンマの典型的な例として、割と不名誉な取り上げられ方をされることが多い企業という側面があります。(参考: http://ameblo.jp/akihikoakihikoakihiko/entry-10708865021.html)

そのKodakが最近、デジタルフォトフレームというジャンルの製品でかなりバランスのいい製品を出していたので紹介します。

http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/digital/pictureframe/P750/

この製品、2010年12月5日現在、ネット上や家電量販店の店頭では、国内メーカーの製品に押されてかほとんどまったく話題になっていません。しかし私は、Kodak EasyShare P750は店頭で目立たないものの実は隠れた名機だと思っています。一方でこれは、家電量販店のデジタルフォトフレーム売り場で一通りの機種を実際に試すぐらいしないと、なかなか気づかないはずです。

店頭で見栄えのするいい液晶を採用し、デジタル写真をそこそこ奇麗に表示できているように見えると、それだけでいい製品に見えがちです。しかし、大抵の製品ではユーザインタフェース面での品質、つまり本体のボタンの位置、数、形状、クリック感、メニュー構造の分かりやすさ、操作の手数の少なさ、メニューのフォント品質、そして操作に対する応答性のうちどれかが大抵欠けています。

(注: 私は昔からユーザーインタフェースに強い興味をもっているので、こういうところはかなり注意して見ています)

競合製品と比べたときのKodak EasyShare P750の特徴としては、以下のような感じになります。

  • この手の組込み機器のソフトウェアとしては作り込まれた奇麗なユーザーインタフェース
  • 人物の顔を認識し、顔を中心にズームする「インテリジェントズーム/パン」機能
  • 独自のカラー最適化技術「KODAK Color Science」による写真の色味の最適化
  • 8インチ800x600ドットと競合製品(7インチ800x480が多い)に比べて縦サイズがあるため、横置きで縦長の写真を表示してもそれほど小さくならない
  • LEDバックライトで中の上ぐらいの画面品質(さすがにSonyのS-Frameなどには負けるが)
  • 日付ベースで表示したい画像群を簡単に探せる機能
  • 周囲の明るさと音をセンサーで検知し、電源のオン・オフを自動的に制御する機能
  • ファームウェアアップデート機能
  • それでいて予算1万円でおつりが来る、この品質のデジタルフォトフレームとしてはかなり安い価格設定

動画や音楽を再生するなど、競合製品のような派手な機能はありませんが、しかしデジタルフォトフレームとして欲しいであろう機能はしっかり網羅されており、その点では値段が3倍ぐらいのする高級機種と比べても全く遜色ないどころか凌駕している部分もあります。

しかしここまでの力の入れようを見ると、もしかするとKodakデジタルフォトフレームの分野で、往年のカメラフィルム並とはいかなくても、結構な成長を見込んでいるのかもしれないなと思いました。また個人的にも、どちらかというと失望させられることの多い組み込み機器のUIの中で、ひさしぶりに感心した気がします。

これからクリスマスシーズンに入りますが、デジタルフォトフレーム選びに店頭に足を向けた際には、有名メーカーのメジャーな機種だけでなくKodak EasyShare P750もチェックしてみることをおすすめします。